これまでの人生で、絵画を見て感動したことが一度だけあります。
それはイギリスへ旅行に行った時のことです。
ロンドン市内を散策していると、近くにナショナル・ギャラリーがあることを知りました。
まぁ国営の美術館のようなものです。
そこへ無料で入れるということを知ったので、何となく入ることにしたのです。
前述の通り、私は絵画を見て感動をした経験がありませんでした。
絵の構図についてはよく分かりませんし、模写なら写真の方が優れています。
所詮絵画など、写真技術が無かった時代の手法に過ぎない。
そんなことを思っていたのです。
こうしてナショナル・ギャラリーに入って絵画を見ていたのですが、やはり感動をすることはありませんでした。
著名な画家が描いた作品が多くあるようでしたが、上手だなとは思っても心の底から感動するようなものは無かったのです。
「やはり絵は絵だな」
私がそう思った瞬間です。視界に光り輝く絵が飛び込んできました。それはゴッホの描いたひまわりです。
美術の教科書で嫌というほど見てきた絵画ですが、当然感動なんかしませんでした。
しかし、今目の前にあるこのゴッホのひまわりは、圧倒的な存在感で私の面前に現れてきたのです。
しばし呆然と見ていると、心の底から感動で震える自分がいました。
感動の理由は色使いでした。文字通り、陽光に照らされて光り輝いているかのごとく煌めいていたのです。
教科書の写真では再現できないはずです。あの絵画だけは今も私の心の中で強烈に光り輝いています。
それ以来絵画展に行くのが楽しみになり、大小さまざまな絵画展の情報をチェックしています。
もう一度あの感動を味わいたくて
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